こんにちは、ENECHANGEで新規事業推進室の室長をしている水本です。
昨日の深堀さんの記事(「性能改善でAIと伴走して分かったAIエージェントの実力」)を読んで、AIエージェントの可能性を改めて感じました。
私はコーディングを3日で挫折したことのある非エンジニアなので、テック寄りの内容ではなく、 AIが当たり前になる時代にビジネスや私たちの働き方がどう変わっていくのか? 自分なりの気づきとして書いてみます。
AIを「コスト削減の道具」とだけ捉えるのはもったいない
最近、「生成AIを導入してどれだけコストが下がるのか?」 「人件費をどれだけ抑えられるのか?」といった話をよく耳にします。 確かにAIを使えば、今まで人が何時間もかけていた作業が一瞬で終わったり、 人員のリソースを減らせたりするのは事実です。
でも私は、そういう「コスト削減」のナラティブだけでAIを捉えてしまうのは、 本当にもったいないと感じています。
実際にAIエージェントであるCursorをおそるおそる触ってみて思ったのは、 AIは単なる業務効率化の延長線ではなく、 働き方そのものを根底から変えてしまう可能性を秘めているということです。
AIを活用することで、これまで思いもしなかったスピードで仮説を検証できたり、 誰もが最初のアウトプットを簡単に形にできたりするようになります。 それによって、これまで参入が難しかった領域にもほとんどコストをかけずに 挑戦できるようになり、これまで不可能だったビジネスモデルが現実味を帯びてきます。
つまりAIは、単なるコスト削減のツールではなく、 革新的なビジネスを作り、急成長させるための「土台」そのものになり得る存在です。
もしAIを「どれだけ人を減らせるか」という視点でしか語れなかったら、 その企業は長期的にAIを活かし切れずに終わってしまうんじゃないか。 そんな危機感も持っています。
パラダイムが変わるなら、仕事の設計も変える
AIエージェントを使っていて、つくづく思うのは、 AIが当たり前に使えるようになると、 仕事の進め方そのものを見直さざるを得ないなということです。
AIがいると、下調べや情報整理、文章の下書きみたいな 「時間さえあればできるけど手間がかかる作業」が、 驚くほど一瞬で終わってしまいます。 最初は「助かるなぁ」という感覚だったんですが、 使い続けるうちに、「じゃあこの空いた時間を何に使おう?」 「今までの進め方のままでいいんだっけ?」と、 自分の中の前提が変わっていくのを感じています。
これはある意味、ビジネスの常識が塗り替わるタイミングなんだと思います。 昔は、FAXで送っていたやり取りがメールになり、 それが今ではチャットツールでリアルタイムに進むのが当たり前になりました。 どれも「手段」が変わっただけじゃなくて、 スピード感や意思決定の仕方、働き方そのものを変えてきたはずです。
AIもきっと同じで、単なる便利ツールではなくて、 働き方の前提を根っこから変える存在なんだろうなと思います。
だからこそ、AIを前提にしたときに「ここはAIに任せる」「ここは人が考える」と役割を分けて、 チームの動き方や意思決定の仕組みをちゃんとアップデートしていくほうが自然です。
正直、ちょっと怖くなる瞬間もある
AIを使い始めた頃は「便利だな」「すごいな」というワクワク感が大きかったんですが、 慣れてくると、正直ちょっと怖くなる瞬間もあります。
特に最近、ふと自分の社会人の原点を思い出すことがあります。 私が新卒で入ったのは、いわゆる超JTC(ザ・日本的大企業)でした。 そこで一番最初に教わったのが、議事録の書き方だったんです。
当時の上司に「議事録は全部書けばいいわけじゃない」と言われて、 会議の背景情報をどこまで補足するか、誰が読んでも意図が伝わるか、 言葉尻だけを追うのではなく、会話の行間をどう汲み取るか―― そんな"議事録の美学"みたいなものを、何度も赤ペン先生をもらいながら叩き込まれました。
でも、今の時代はどうでしょう。 AIを使えば、会話の要点を自動で文字起こしして、 議事録として整えるところまではあっという間にできてしまいます。 議事録を書くという行為そのものは、 もはや人間が頑張って時間をかけることじゃなくなるんですよね。
一方で、「この会議の意図は何だったのか?」「どの情報が本当に重要なのか?」 「議事録を読む人が何を知りたいか?」―― こういう部分は、AIだけでは補えません。 逆に言えば、人間の感覚や文脈理解が必要な部分がより大事になる、ということだと思っています。
だからこそ私は、この少し怖さを感じるくらいの変化を 前向きに受け止めたいなと思っています。 「これまで当たり前に自分でやっていたことが、いつの間にかAIがやってくれるようになる。」 そんな変化を目の当たりにしながら、 人間だからできることにフォーカスしていくしかないんだろうな、と思っています。
AIを前提にする
ここまでAIを触ってみて思うのは、AIのない時代には戻れないということです。 だからこそ、AIを前提にして、「どうやって自分たちの強みに変えていくか」が問われます。
技術の進化をただ待つのではなく、自分たちの業務設計や役割をアップデートしていく。 AIを前提にビジネスをどうデザインし直すか。その感覚が一番大事だなと感じています。
おわりに
AIが当たり前になることで、 これまでの常識がどんどん塗り替わっていくのを感じています。
でも、だからといって「AIに仕事を奪われる」と怖がって立ち止まるのではなく、 「じゃあ自分は何を大切にするべきか」「どう役割を進化させていくか」を 考え続けることが大事なんだろうなと思います。
AIはコスト削減の道具じゃなくて、 新しい価値を生み出すための土台であり、 これまでできなかった挑戦を後押ししてくれる存在です。
FAXからメール、メールからチャットツールへ。 そんな風に常識が変わってきたように、 AIの時代もきっと「あのときはこうやってたよね」と笑える日が来るはずです。
私自身、まだまだ試行錯誤の途中ですが、 この変化を面白がりながら、怖さを含めて、 それでも爆速で進んでいこう と思っています。
次回はCTO室の岩本さんが、「あなたのAIエージェントはどっち派? MCPツールをLLMに渡す2つの方法」について語ってくださる予定です。お楽しみに!