はじめに
こんにちは、ENECHANGE EXPERIENCE部 デザイナーの平木です。
日々、アイデア検討やリサーチをする中で、「この情報を、もっと伝えやすく、もっと見せやすくできたらな」と感じる場面がよくあります。
今回は、AIを活用して『アイデアをインプット・リサーチ→インフォグラフィックス化→LP型プレゼン資料にして社内共有』までを一気通貫で行った試みと、その中で得られた実感についてご紹介します。
この試みでは、デザインツールは一切使用していません。
「知見をもっと見える形で広げたい」、「頭の中にあるアイデアをすぐ形にしたい」、そんな方にも参考になれば幸いです。
きっかけは「せっかくのアイデア、埋もれさせたくない」から
困ったこと:AIをフル活用してたまった知見が、個人にとどまってしまっている
EXPERIENCE部では、市場調査やユーザーリサーチのためにAIエージェントのディープリサーチ機能を日常的に活用しています。
ただ、せっかく集めた知見が個人の手元にとどまったままで、チームや他部署に展開される機会があまりありませんでした。
なぜ困った?:チャットもスライドも“途中の思考”には向かない
原因は主に以下の2つです。
AIとのやりとりで得たリサーチ結果をチャットでリンク共有しても、すぐに流れてしまう。
- 検索性を保つために整理して残すにしても、手間や管理コストがかかってしまう。
スライドで整理しようとすると、アイデア段階のものにしては工数がかかりすぎる。
- ビジュアルにまとめること自体が目的化してしまい、肝心の思考や検討に時間をかけられない。
じゃあこうしよう!:見える化と共有の場をつくる

アイデアの見える化
- アイデア構想をAIにインプット、またはディープリサーチにかけて市場調査。そのままインフォグラフィックスでの出力を指示することで、視覚化するための手作業をゼロにしました。
アイデアの共有の場
- インフォグラフィックスで視覚化したものを誰もが自由にストック・アクセスできるよう、共有の場をGoogle Site上に立ち上げることにしました。
- この社内サイトは「Experience Idea Stocker」と命名されました。
実感した価値
AIが出してくれるアイデア構想の整理やリサーチ結果は、たたき台として十分使えるクオリティでした。
さらにデザイナーが、デザイン視点での見せ方や伝えたいポイントを加えることで、短時間でより説得力のある資料が作れるようになりました。
特に、構想提案フェーズで1~2時間あれば、AI+インフォグラフィックスによるLP型プレゼン資料をまとめきれるのは大きな変化でした。
AIエージェントを使ったインフォグラフィックス化の実践
テーマ設定:NPS向上をUXから再定義する


私がこの試みで実際にアウトプットしたのは「電力業界NPS向上戦略:UX改善による顧客ロイヤルティの再定義」というテーマです。
一般に公開されているNPS調査データをもとに、課題構造と改善要因を特定し、インフォグラフィックスに落とし込んで社内訴求用のLP型プレゼン資料を作成しました。
このテーマを選んだ理由:
NPSスコアが極端に低い電力業界の構造的課題を、UX視点で読み解きたかった
「信頼性はあるけど、使いづらい」という声をどの会社も抱えている実態が見えていた
サービス改善や提案時に「UXはロイヤルティに効く」と説明できる材料が欲しかった
この構成に対し、AIエージェントには以下のような形でプロンプトを設計しました:
目的と想定読者(誰にどう伝えたいか?)
各企業NPS成功事例10件の調査依頼(リサーチとインプット)
出したい構成や見せ方(アウトプット)
訴求力のある文構成と視覚的ストーリーラインの提案
そのうえで、複数の要素を段階的にブラッシュアップしていく形で対話を進めています。
AIエージェントでリサーチして驚いた3つのポイント
1. 網羅性の高さ:想定外の情報まで拾って整理・提案をしてくれました。
2. 構造化された出力:そのまま使えるレベルの訴求ストーリーやグラフィックを出力してくれました。
3. 客観性ある分析:バイアスが少なく、冷静にデータのみを見て整理をしてくれました。
インフォグラフィックスの設計と可視化
可視化のポイント
今回のインフォグラフィックスは、すべてGeminiによって自動生成されたアウトプットをベースにしています。
リサーチ内容の要約だけでなく、Chart.js を使ったグラフ構成やHTML構造、トーンや情報整理の方針まで、Geminiからの提案を受けて作成しました。
私がその出力に対して行ったのは、情報の粒度や強調、ストーリー構成やレイアウトの細部などの微調整のみです。
構造化されたデータをもとに、以下のような要素を指示しました:
比較チャート:電力会社ごとのサービス比較
トレンドグラフ:ニーズの変化を視覚化
統計ビジュアライズ:業界全体の指標
デザイン面では、AIエージェントと対話しながら「どの見せ方が理解されやすいか?」を検討し、統一感ある情報構造に落とし込みました。
Geminiの役割
リサーチ、構成、文案、可視化提案、グラフ設計、HTML/CSS/JS出力まで一貫してまかせることができます。
Google Siteによる社内共有
なぜGoogle Siteを選んだのか
この取り組みの共有プラットフォームとしてGoogle Siteを選んだ理由は2つあります。
社内限定公開ができる
- アクセス制限をかけ、社員だけに見せる仕組みが簡単に作れることが重要でした。
専門知識が不要
- Geminiが出力したHTMLをそのまま埋め込むだけでWebページとして完成するため、簡単にクオリティの高い直感的な資料を残すことができます。
「Experience Idea Stocker」という仕組み
サイト構造は極めてシンプルで、誰でもすぐにストック・アクセスできることを意識しています。
アクセス方法:「アイデア」「リサーチ」のカテゴリリストの中から見たいページを選択するだけ
投稿方法:各作成者が適切なカテゴリにページを追加するだけ
社内からの反応
「Experience Idea Stocker」を展開したとき、社内からは、
- 「エンジニア側でも、リサーチ結果が個人に溜まっていく課題があった。ストックできる場を探していたので横展開したい!」
- 「顧客との会話の中で見せられるくらいの仕上がりで、借りたい!」
といったリアクションをもらうことができました。
実際にこの手法で作成されたLP型プレゼン資料は、顧客とのイメージすり合わせの場でも活用されました。
この取り組みから得た3つの学び
可視化作業の効率が圧倒的に向上した
これまで、頭の中にあるアイデアや考察を共有するには、スライドを1枚ずつ作り、図を起こし、レイアウトを整える必要がありました。
しかしこの取り組みによって、すぐに可視化・すぐに共有ができるようになり、チーム内の連携スピードが大きく向上しました。
またLP型の資料は、ターゲットに情報の遷移を途切れさせることなくインプットできるという大きな効果を発揮してくれました。
自分に合ったAIとの付き合い方を見つける必要がある
ストーリーの骨子が自分の中で明確なときは、AI出力も効果的に使えますが、そうでないと迷走することもあると実感しました。
私は壁打ちしながら組み立てるタイプですが、ある程度イメージを固めてからAIに頼る方が、理想の形にアウトプットしやすいと気づきました。これは人によってスタイルが異なる部分だと思います。
デザイナーでなくても「伝えられる」ようになった
AIとインフォグラフィックスを組み合わせることで、非デザイナー・非エンジニアでも、一定のクオリティを保ったプレゼン資料を短時間で作れるようになりました。
Geminiのアウトプットをベースにすれば、視覚的に伝わりやすい構成や見せ方も実現しやすくなり、デザインツールに不慣れなメンバーでも、説得力ある表現が可能になります。
これは、誰もが「伝えたい」をかたちにできる可能性を持ったアプローチだと強く実感しました。
今後の展望
プロセスのテンプレート化とチーム展開
これまでのプロンプト設計・調整・出力フローの試行錯誤を踏まえ、「AIエージェント+可視化+社内共有」までの一連の流れをテンプレート化し、他メンバーでも再現できるようにしていきたいと考えています。
プロンプト設計の型化(目的/読者/構成)
AIに頼るべきパートと、自分で判断すべきパートの切り分け
HTML出力の活用ポイントと、微調整の勘所
Google Site上での掲載ルールや見せ方の工夫
こういったノウハウをドキュメントやワークショップとして共有し、「再現性のある知見」として広げていくことが、次のステップです。
より高度なAI活用:動的分析やパーソナライズ
今後は、静的なインフォグラフィックスだけでなく、動的なアウトプットやパーソナライズ要素にも挑戦していきたいと考えています。
セグメント別に切り替え可能なダッシュボード
一定の条件に応じた自動アクション提案
市場予測や競合比較のダイナミック可視化
「考察だけで終わらず、実装にもつながる可視化」を目指した進化です。
おわりに
アイデアや気づいたことを形にし、共有する
特別なスキルがなくても、AIエージェントと対話しながら思考を整理し、可視化し、共有できる。そんな環境があることで、気づいたことが『誰かの視点』に変わり、組織全体の前進につながっていきます。
これからも、「気づいたことを、形にし、伝える」をもっと当たり前にしていきたい。デザイナーもAIの力を最大限に活用しながら、私たちらしい発信のかたちを育てていけたらと思っています。