こんにちは!ENECHANGEでエンジニアリングマネージャー兼モバイルアプリエンジニアをしている片田(id:yuta_ktd)です。
昨年末に注文した分割キーボードのCornixがようやく届いたので使ってみているんですが、分割はもちろん40%配列も初めてなので、想像の5,000,000,000倍使いこなせていないです。 なので最近の日課は寿司打になってます。
さて、今回は2026/03/04に開催されたEMConf JP 2026に参加させていただいたので、その参加レポートをお届けします!
EMConfについて
EMConfとは、「Engineering Management Conference」の略で、肩書き問わずにエンジニアリングマネジメントを実践している方に向けたカンファレンスイベントです。
去年から行われているイベントで、去年は弊社の石橋(id:rubita_isi)さんが実行委員を務めていたりもしました! 石橋さんは先日VPoEに就任され、まさに今、ENECHANGEのエンジニアリング組織を強くするために動いてくださっています。
テーマは「増幅」と「触媒」です。 イベントを通じて、実行委員の皆さんや参加者の皆さんが、熱を持って各々のやり方でGiveされている姿勢を感じ、とてもしっくりくるテーマだなと感じました。
会場ではエンジニアリングマネジメントに関わる様々な方が講演をされていたり、スポンサーブースがあるのはもちろん、
Ask the Speaker(登壇者に直接質問できる枠)、アンカンファレンス、スタンプラリー、みんなで!EMお悩み相談室、EMのそういうところ展 etc...
本当にいろんなところで催し物があって、「せっかく来てくれたから、何か持ち帰っていって欲しい」という思いをひしひしと感じました! なんというか、気づきに関するフックがいろんなところにある感覚がありましたね。
参加した講演の概要、感想
いくつか印象に残った講演の簡単なまとめと、個人的な気づきを記載します!
冒険する組織のつくりかた by 安斎勇樹さん
様々な組織・キャリア論に関する著書も出されている安斎さんの基調講演。
- 社会の世界観は、かつての「軍事的世界観」から「冒険的世界観」に変わっている
- 当時の組織論は軍事的世界観に基づく危機感を煽るようなものが多かったが、今はそれが通用しない
- 感情的で外部思考な冒険的な文化を作るための取り組みについて
印象に残ったこととして、目標設定の考え方として、目標にワクワクしなかったり、目標を覚えていないといった形で目標自体が機能していない場合がある、という点は少しギクッとするような感覚がありました。 そしてその改善策として、目標設定にSMARTに加えてALIVEな考え方を取り入れたり、
組織づくりは、組織に張り巡らされている「目標設定」の網の質を変えていくところから。
— 安斎勇樹 / 最新刊『静かな時間の使い方』予約受付中 (@YukiAnzai) 2024年9月10日
最近は具体的な目標を立てる際には従来の"SMART"に加えて"ALIVE"になっているかどうかを意識しています。
#154 SMARTに代わる、目標設定の新法則「ALIVE」 - 安斎 勇樹https://t.co/EgGPba9qnm#Voicy pic.twitter.com/S78SSI757c
組織の上位目標を踏まえて我々のチームがどういった目標設定をするのか、それをどういった形でチームに対して発信するのかを工夫することができることも学びになりました。
講演はYouTubeで公開されていました。
「事業目線」の正体 〜3つのフェーズのCTO経験から見えてきた、EMが持つべき視点 by sotarok さん
メルカリをはじめとした、様々なフェーズのCTOを経験されたsotarokさんによる、EMが持つべき視点、やるべきことの3STEPを紹介されていました。
- EMには「事業目線」を持ってほしい
- マネジメント = 事業活動を成功に導くために、自組織のアウトプットを最大化すること
- EM(エンジニアリングマネージャー) = エンジニアリングという専門領域を使って事業を成功に導くマネージャー
- 事業の成功のためにマネジメントしているのだから、事業を知ることは必然になる -「事業目線」には3つのステップがある
- Lv.1:エンジニアリング部門が事業活動において作用している数字を知る、そのために数字を因数分解し見える化する
- Lv.2:数字のその裏にある顧客の行動・関係者の背景を知る
- Lv.3:Lv.1・Lv.2で得た知見を、戦略(ロードマップ)に落とし込む
私は正直、Lv1をもっと固められるなと思ったのが現状だったので、事業に関わる数字の因数分解と、ダッシュボード化もやってみたいなと思いました。
マネージャー版 "提案のレベル" を上げる by こにふぁー さん
- 提案とひとくちに言っても、指摘で止まっているものから意思決定を促すものまで、様々なレベルが存在する
- マネージャーになると今までできていた提案レベルを維持することが難しくなる
- それは能力不足というより扱う広がりが増えるから。他部署や経営まで関わる範囲が広がり、時間軸が伸び、選択肢も増える
- それを克服して提案レベルを上げるためには「理解して覚悟」することが大事
- 役割と意思決定プロセスを「理解」する
- 決めてやりきる「覚悟」を持つ
- 一方で、一発で完璧な提案を目指しすぎないほうがいい、提案に時間がかかるのであれば、それは完成度を上げようとしすぎているのかも
自分の最近の悩みとして、提案するまでの時間が長くなりがちでボールを抱えてしまうことがあったので、とても刺さりました。 Ask the Speakerで直接こにふぁーさんともお話しさせていただき、お悩み相談させてもらったのもいい思い出です!
「開発生産性」ではなく「事業生産性」こそが本質 ~ ROICで紐解く、開発の「稼ぐ力」の最大化 ~ by 江副 廉人さん
EMの振る舞いや行動はあくまでHow。コミットすべきOutcomeは事業成長とステークホルダーへの還元であり、その本質的な指標がROIC(投下資本利益率)である。「開発生産性を高めること」は手段であって目的ではない、といった視点の提供をされていました。
- 開発生産性にはレベルがあり(仕事量の増加 → ユーザー価値の向上 → 事業価値への転換)、レベル1の「量を増やす」段階だけでは事業価値に直結しない
- 生成AIで 生産量 は上がっているが、 生産性(= 事業価値への変換効率) はそこまで上がっていないのでは?
- ROICを高めるには2つの軸が必要
- 税引後営業利益(NOPAT)の増加: 収益性の高い開発、インフラ費用最適化、障害削減による修繕費低減、AI活用・プロセス改善による生産性向上
- 投下資本の最適化: 資産計上/費用化の適切な判断、不要資産の増加抑制、古いソフトウェアや遊休サーバーの廃棄・整理、拡張性ある設計で開発負債を生まない
- エンジニアが事業に徹底的に向き合わない正当な理由は現実に多い(事業フェーズ、個人の志向など)
- 一方、 株式会社で働く以上、ROICに向き合う意味はある
- 文化浸透に必要なのは気合い
- ただし、一部の意識の高い人が頑張るのではなく、「事業に向き合うこと自体をマジョリティにする」ことに気合いを使う
ワンキャリアではエンジニア自身がROI・資本の回収計画を検討してワークフローの申請を行なっているという点にとても驚きました。 文化浸透のために「事業に向き合うこと自体をマジョリティにする」ことをまっすぐに実践されているんだなと感じました。
まとめ、自分が感じたこと
今回EMConf JP 2026に参加して、改めて感じたのは「エンジニアリングマネジメントの"How"は多様でも、向き合うべき"Why"は事業とチームにある」ということでした。 振り返ってみると、印象に残った講演にはなんとなく共通するメッセージがあったように思います。
- 目標は掲げるだけでなく、チームがワクワクして動けるものになっているか(安斎さん)
- 事業の数字を因数分解して見える化し、自分たちの仕事が何に効いているかを知る(sotarokさん)
- 提案は完璧を目指して抱え込まず、理解と覚悟を持って早く出す(こにふぁーさん)
- 開発生産性の先にある事業生産性にコミットし、向き合うことをマジョリティにする(江副さん)
どれも切り口は違うのですが、「自分やチームの内側だけで閉じず、事業・組織・ステークホルダーといった一歩外側に視点を広げよう」という点で通底していると感じました。
そして今回のEMConfのテーマである「増幅」と「触媒」という言葉が、より腹落ちする感覚がありました。マネージャー自身が何かを大きく成し遂げるというよりも、チームや事業がよりよく動くための触媒になり、その成果を増幅させていく、そのために自分は何を知り、何を発信し、何を決めるのかというのが、EMとしての自分の仕事なんだなと改めて思えたのが大きな収穫です。
個人的には、
- 事業数字の因数分解とダッシュボード化
- 提案を抱え込まず、早めに出して議論する動き方
この2つは、チームで試してみたいと思っています。 最後になりましたが、素敵なイベントを運営してくださった実行委員の皆さん、登壇者の皆さん、ブースや廊下でお話しさせていただいた皆さん、本当にありがとうございました!
来年もぜひ参加したいです🙌
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