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シリコンバレーから生まれた最高の文書の一つと言われている「Netflix Culture」について

こんにちは。半年で7Kg減量成功したCTO室のkazです。 FaceBook COO のシェリル・サンドバーグ女史が「シリコンバレーから生まれた最高の文書の一つ」と称賛したことで知られる Netflix の企業カルチャーガイドを読み、自分自身に落とし込みながら咀嚼してみました。

jobs.netflix.com

Netflix は急成長に翳りが出て、過渡期と言われているものの、最近のニュースでは全世界での有料会員は1億6700万人で、米国外の有料会員は1億人を超えると報じられました。アメリカのピーク時の全トラフィックの 1/3 がNetflixとも言われています。 どのようにしてイノベーションのジレンマを打ち破っているのか...興味深い成功例だと思います。

jp.techcrunch.com

下記コンテンツもカルチャーの理解を深めることに役立ちます。

元Netflix最高人事責任者のパティ・マッコード女史です。 www.ted.com

NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く~


前置きが長くなりましたがここからが本題です。

デックの冒頭にNetflixで尊重されている文化が記述されています。

すべての優れた企業と同様に、私たちは最高の人材を採用するために努力しており、高潔さ、卓越性、尊敬、包括性、コラボレーションを重んじています。 しかし、Netflixが特別なのは、われわれがどれだけのことをしているかです。

  1. encourage independent decision-making by employees
    • 従業員の自主的な意思決定を促す
  2. share information openly, broadly, and deliberately
    • 情報をオープンに、広く、そして意図的に共有する
  3. are extraordinarily candid with each other
    • 徹底的に正直になる
  4. keep only our highly effective people
    • 有能な人材だけを確保する
  5. avoid rules
    • 規則を避ける

1. encourage independent decision-making by employees

  • 従業員の自主的な意思決定を促す
    • 従業員を大人として扱い、自由と責任の文化をつくる

5. avoid rules

  • 規則を避ける
    • 自由と責任の規律

「忠誠心と帰属意識を高め、会社につなぎ止め、やる気と満足度を上げるための制度を導入することが人材管理の仕事だという考えはすべて間違っていて、そんなの経営者の仕事ではない。」と今まで在籍してきた会社及び日本で自称ホワイト企業がアピールしている内容をそんなものは間違っているとバッサリ。え、すごい、何事だよ... 従業員同士を褒めあいさせてポイント付与させるシステムとか入れてる企業ではぜったい働きたくありません。ビリヤード台、卓球台、トレーニングマシンも不要だとは思います...。そんな遊具で仕事の効率は上がらないし、やるなら自分の金と時間で業後に集中してやりたい。ただ、SO など利益を従業員に最大限還元する施策は今後の家族のキャリア形成や投資するために個人的にはインセンティブになります...^^;

「チームの文化であれ全社的な文化であれ、文化を抜本的に変えようとするときに理解しておきたい大切なことがある。それは、たんに理念や業務方針を示すだけでは不十分だということだ。まず、従業員に一貫してとってほしい行動をはっきりと打ち出し、続いてそれを実行するための規律を定着させる必要がある。」

それがこの「カルチャーデック」であり、まずマネージャーから始めたとのことだけど、マネージャー層がしっかり取り組む姿勢を見せないと同僚や部下に伝わらないですよね。ちなみに弊社ENECHANGE では Mission に"エネルギーの未来を変える"があり、Valueとして"Impact Driven","Go Agile","Be Open"が掲げられています。これらは社内で広く浸透はしています。Misson については私がここにいる理由ですね。Valueは仕事をするうえでどれも重要だし、特に目新しいワードでもないですが、これを文化として醸成していくことは簡単ではないです。文化醸成を阻害する要因あるあるなのが、無知だと思われたくないから質問せず、否定的と思われたくないから意見を共有しない。また、「〜が、〜だから。」という転嫁が起こる現場は相互信頼と当事者意識の欠如という意味で最悪でチームメンバーのメンタルが疲弊するし、生産性は高くないはずです。 それら阻害要因を取り除く方法の1つとして複数の重要要素が入っていて参考になるなと思ったのがこの動画です。

How to turn a group of strangers into a team | Amy Edmondson

appropriate humility.

you can be sure that some leaders. leaders at all levels have been crystal clear. Let's call this "situational humility." you can be sure as I said before people were very curious. and this situational humility combined with curiosity creates a sense of psychological safety.

「必ず あらゆる階層において正解が分からないことをはっきり自覚しているリーダーが必要なのです。 これを「状況対応型の謙虚さ」と呼びましょう。 そして必ずメンバーは好奇心にあふれています。 この状況対応型の謙虚さと好奇心が組み合わさると心理的安全性が生み出されるのです。

まさに核心かなと思いました。 humilityについては有名なこの書籍に具体的に書かれていますね。

HRTとは謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)のそれぞれの頭文字をとった言葉です。

Team Geek www.oreilly.co.jp

心理的安全性については Google の Re:Work で提言されています。 それ自体がパワーワードであるため、他の重要要素を無視してフォーカスし、セミナービジネス等に利用されているので、認知バイアスに注意しながらしっかり読むべき資料の1つだと思います。 rework.withgoogle.com


2. share information openly, broadly, and deliberately

  • 情報をオープンに、広く、そして意図的に共有する
    • 従業員一人ひとりが事業を理解する

「事業が複雑になればなるほど、仕組み・進路について全員と意思疎通を図ることが難しくなる。これをうまくやる秘訣は”コミュニケーションハートビート”を確立することだ。コミュニケーションは双方向でこそ成り立つわけで、従業員は質問するだけでなく、CEOを含む全てのマネージャー相手に意見や考えを伝えることができるのが理想だ。」

上司や同僚に意見や考えを伝えることが難しい・フィードバックが無い職場というのは自分自身のパフォーマンスが落ちる傾向にあると思います。 もちろん自分本意なポジショントークではなく、意見の背景にあるものが顧客のためになるのか?ということがポイントだと考えています。 弊社では週に一度1on1(部門によっては、2週に一度)を実施してます。社内においても1on1とはなにか?の認識に差はあるとは思いますが、まず、コミュニケーションの根底にある”相互信頼”のフェーズを経て、その上の”成長支援”のフェーズがあると理解しています。これらは時間がかかるものなので、効果がすぐに出ないからと言って不要と判断するのは悪手かなと思います。

「多くの企業が研修に大金をかけ、従業員に仕事から長時間離れることを強いる。これの大部分は的外れだ。パフォーマンスを上げる方法を学ぶには、実戦を積むのが一番だ。事業のしくみと顧客サービスの基礎知識。これこそ従業員の最も知りたいことだ」

過去に心当たりがありすぎて目から汗が... 弊社では Onboarding という施策があり、CEOをはじめ、事業責任者が事業やマネタイズの仕組みなどを説明する場があります。また、顧問によるエネルギー関連の社内勉強会も数多く実施され、従業員一人ひとりが事業を理解する機会があるという点においてはとても充実していると言えます。 情報の透明性についてですが、弊社ではSlackを使用しているのですがDMを極力使用しないようにしています。社内政治の温床になるのは当然なのですが、情報共有が限定的な仕事の進め方をしていると往々にして「事前に〜さんに作業をお願いしていたけど、進捗どう?」など唐突に非生産的な差し込みが入ったりします。これを防ぐためにオープンなチャンネルで担当者にメンションをつけて会話をすすめるべきだと思います。思わぬところからいいアイディアを貰えることもたくさんある!


3. are extraordinarily candid with each other

  • 徹底的に正直になる
    • 人はうそやごまかしを嫌う

Netflixでの最も重要な約束事の一つは、「問題が起こったら当事者同士でオープンに話し合うことだ」

従業員同士が敬意と誠意を持って接することはめちゃ重要だと理解はしていますが、これをどう浸透させていくのかが鍵となります。 匿名性でフィードバックしたとしても発信者が意図していない伝わり方をしてたりして、問題を解決するどころか新しく問題や疑念を発生させてしまうケースもあります。 フィードバックを受けた側がフィードバックした側と当事者同士でコミュニケーション取って認識を合わせることが重要だと思います。 匿名性だから本心が出るなんて妄想だとも思ってます...

  • 徹底的に正直な姿勢は、緊張を和らげ、陰口に歯止めをかけ、理解と尊敬を深める

  • 徹底的に正直な姿勢は、胸にしまわれていた反対意見をあぶり出す。そうした意見は重要な発見につながることも多い

  • みずから模範を示し、まちがいを素直に認めよう。また、自分が何をもとに決定を下したのか、どこでまちがったのかを説明しよう。そうすれば部下は上司と真っ向から対立する考えや意見であっても素直に話してくれる


4. keep only our highly effective people

  • 有能な人材だけを確保する
    • すべての職務に適材を

そもそも日本向けに書かれたものじゃないのでアメリカの雇用についてや権利意識についても認識して読んだほうが理解度を深めることができると思います。 任意雇用は雇用側と従業員側の合意によって成り立っており、いかなる時も解雇・辞職可能というものです。もちろん訴訟リスクがあるので説明責任が重要だと聞いてます。やめたいと思ったときにやめられるしやめさせることも可能ということですね。 日本と違って引き継ぎなどの企業側都合で退社時期を調整する必要もなく、双方にとって機会費用の損失が発生しずらい環境は真にフェアだ思います。 HBO制作の「シリコンバレー」を見てても短期間にバンバン人が入れ替わるので人材市場自体がとても流動性があるという点についても比喩されているなと感じます。

「解雇のタイミングを判断することが、会社の求めるスキルをもつ優秀な人材を採用できるかどうかのカギを握る。2つは表裏一体の関係にあり、逸材を採用する能力がなければ、いい人たちを安心して放出できない


Netflixは極端な例だとは思います。労働市場・多民族性など日本とは状況が大きく異るのでこれをやれば成功し成長できるとは思いません。ただ、グローバル企業になるために成長しつづける必要があり、数年を費やして失敗と成功を繰り返し、挑戦してきた歴史には参考にすべきものが多いです。 なによりも従業員側の意識改革に重みをおいており、それが企業にとっても成長につながるということを説得力をもって語られています。

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